投資不動産販売員資格について

創設の趣旨

 昨今の社会情勢による資産形成ニーズに高まりに応じて、不動産投資は個人向けの投資、資産形成商品として周知、広がりを見せております。不動産投資は実物投資、J-REITやクラウドファンディングなど様々な投資形態が広がっており、市場規模も拡大しております。それに伴い、投資用不動産業界の各社の社会的責任も高まり、持続的な発展を遂げていける業界となっていくには、信頼産業としての発展が必要になります。

 その中で、投資不動産業界においては顧客とのトラブルが少なくなく、健全性を疑問視する見方も少なからず存在します。業界内の多くの会社、携わる職員は健全な活動を行い、日々自己研鑽を積んで業界の発展に寄与していることかと存じますが、当会としては業界の質の向上のために、より踏み込んだ取り組みを行う必要性を感じておりました。

 そして、当業界においては働く販売員の知識(宅建業法、不動産の一般知識、営業方法及びコンプライアンス認識等)の不足からくる業界の健全性の低下が見られるため、その点をケアすることで業界の信頼性向上が見込めるのではないか、業界の質や健全性の向上のためには、まず「販売員の質の向上」に取り組み、販売員に対する教育及び研修の強化を図る必要があるのではないか、という考えに至りました。

 投資不動産の販売員がプロフェッショナルな人材として顧客からの信頼を獲得でき、公共の利益に寄与できるよう、販売員に対して必要となるリテラシー、倫理観に関する教育を強化する一環として、販売員を認定する認定資格制度を創設することとし、そのために習熟度を確認するための認定試験を実施し、併せて、認定資格者の登録制度も創設することと致しました。

資格の性質

 投資用不動産販売は宅地建物取引業法の規制の下行われます。不動産の取扱いに関しては宅地建物取引士の資格が存在します。

 しかし、販売活動を行う者に対する資格の義務付けは行われておらず、宅地建物取引業法の知識がなくとも販売活動が行える実態があります。

 当然、業界として宅地建物取引士資格の取得を推進することは必要な課題でありますが、販売活動を行う上で特に留意すべき点についてより専門的に知識の習得、倫理観の成熟を目指すことも必要であると考えます。

 また、投資不動産販売は顧客の資産形成、投資運用の側面もあり、金融に関するリテラシーも必要となるなど通常の宅地建物取引よりも広範にわたる知識の習得も必要となります。顧客のローンに関して金融機関と提携を行っており、融資取引に関する知識も必要となり、それに伴い顧客のセンシティブな情報も取扱うため、個人情報の取扱いの知識も必要となります。

 以上のような観点から販売員が身に着けるべき倫理観及び知識に関して広範に教育が必要となってきます。

 そのため、投資不動産販売員試験は投資不動産にまつわる知識を広く問うものとなります。広い範囲で重要な点をおさえてゆくといったことから、宅建士試験や賃貸士試験の入門(前段階)としてのポジションを確立したいと考えています。(その他不動産系資格についても同様)

 将来的な宅建士・賃管士資格の取得を視野に入れた場合、当資格の勉強は全く無駄にならないため、多くの方に積極的に取得を目指していただきたいと考えております。